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医療情報「この病気ときちんと向き合う 肝臓がんその1」

約90%は、肝炎ウイルスが原因です。

気になる場合はお気軽に肝臓外来を受診してください。肝臓がんの予防は、まず検査から。定期的に健康診断を受けましょう。

診療スケジュール及び健診は、
肝臓外来」スケジュール、「健康診断・人間ドック」、「プチドックのご紹介」をご確認ください。

肝臓がんその2の記事はこちら。

アルコール性の肝炎からのがん発症はごくわずか

肝臓は体の中で一番大きな臓器で、その重さ1~2kg。栄養分を体内で活用できる形に分解・合成するほか、有害な物質の解毒や、消化機能を助ける胆汁の産生、造血・血液量の調整など、実に多彩な働きと機能を持っています。
ところで、「肝臓の調子が悪くて…」と聞いたら、「お酒の飲みすぎ?」と思う人が多いのではないでしょうか。確かにお酒を飲みすぎると、本来は息や尿と一緒に体外へ排出するはずのアルコールを処理しきれず、肝臓に負担をかけてしまいます。
健康診断の血液検査で「γ-GTP」が正常を超えていると、お酒を控えるように注意が促されるのは、そのためです。そもそもγ-GTPとは、解毒作用に関係し、アルコールに敏感に反応する酵素で、肝臓や胆管の細胞が破壊されると血液中に流れ出すため、肝臓や胆管の細胞がどれくらい壊れているかを示す指標の一つとされています。
ただし、アルコール性の肝炎から肝硬変、そして肝臓がんに進む人はごくわずか。肝臓がんを発症する原因の90%は、B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスによる肝炎に起因するものなのです。
こうした中、肝臓がんによる死亡者数は、1970年代から急速に増加し続け、2002年には3万4000人を超えました。けれども、それ以降は減少傾向にあり、肝炎ウイルスへの新たな感染も無いに等しい状況と言われています。
ところが、今後数十年間に過去の総数にも匹敵する肝臓がんの発症が予想されています。どうしてなのでしょう。

約75%がC型肝炎から肝硬変を経て肝臓がんへ

肝炎ウイルスの感染は血液を介するのですが、終戦後の混乱期に行われた売血や、消毒が十分ではない注射器と注射針の再使用を伴う医療行為などで感染が広まり続けたのではないかと考えられています。
そして数十年の潜伏期の後に、次々と肝臓がんを発症し、1970年代から死亡者数が急増しました。新たな感染の心配はないものの、すでに感染している人が少なくないため、今後の発症が懸念されているのです。
ウイルス性肝炎による肝臓がんのうち、C型肝炎が占める割合は約75%で、B型肝炎は約15%。肝臓がんの発症を防ぐには、いずれかの肝炎ウイルスに感染していたとしても、肝炎にならないよう注意することが何よりも大切です。
肝臓がんには、肝細胞の悪性腫瘍による原発性の「肝細胞がん」と、肝臓内の胆管細胞から発生する「胆管細胞がん」の2種類がありますが、95%は前者。肝細胞がんは正常な肝細胞に発生することは極めて稀で、肝炎ウイルスの作用によって正常な細胞に異変が起き、遺伝子の傷が集積されて肝細胞のがん化が進行するものとみられています。よって。健康診断などで肝機能の異常を指摘されたことがあったり、過去に輸血を受けたり、家族に肝臓病の人がいる場合は注意が必要です。
一度は必ず肝炎ウイルスに感染しているか否かを検査しましょう。もし感染していても、専門医のもとで適切な治療を続ければ、肝臓がんへの進行を防ぐことは可能です。

生活習慣病の増加とともに脂肪肝にもがん化の懸念が

では、感染の心配がいない若い世代は、肝臓がんになるリスクはほぼないと考えていいのでしょうか。ウイルス性肝炎による肝臓がん以外の約10%は何が原因なのでしょう。
それは、ここ数年で、約5%がメタボリックシンドロームの脂肪肝から肝臓がんを発症していることがわかってきました。しかも、今後はその割合が増えるのではないかと考えられています。また、糖尿病を患った人の死因の第一位が肝臓がんとも。健康診断で脂肪肝との指摘を受けた人が、そのリスクを回避するためには、生活習慣を見直すことが、とても重要です。
なぜなら、脂肪肝による肝臓がんは、ウイルス性肝炎に端を発した肝臓がんと変わらない重症度だからです。治療後2年以内再発率は、どちらも50%。
アルコール性肝炎から肝臓がんへ進行するケースは少ないものの、脂肪肝の人にとって過度の飲酒はリスクを高め、深刻な状態を招きかねないことは事実です。
肝臓は、「沈黙の臓器」と呼ばれるように、なかなか症状が出ず、病気に気づきにくいだけに、その声なき声に耳を傾けたいもの。
ウイルスやアルコールなどによって肝炎になった場合、10年で20~30%の人が肝硬変に進行し、以後は1年ごとに5%の割合で肝臓がんを発症します。つまり、肝硬変になると10年で半数の人が肝臓がんを発症することになります。年代を問わず、やはり注意が必要です。

新薬の開発や手術法など日に日に進歩する医療

また、理由は不明ながら、C型肝炎による肝臓がんの発症は、全国でも地域的に福岡・佐賀など北部九州に多いのが特徴。こう書くと、肝炎になったら肝硬変への進行が避けがたく、ましてや肝臓がんを発症したら活路がないかのようなイメージを抱く方もいらっしゃることでしょう。
けれども、決してそういうわけではありません。医学の世界は日進月歩。以前では考えられないほど長く、発症からの人生を送る人も増えています。強い副作用などを理由に、まだ一般的に使用できる状況ではありませんが、C型肝炎の95%が完治するという画期的な薬もすでに開発されました。
また、肝臓がんの手術も、個々の状況に応じて、なるべく患者さんの体に負担の少ない方法がとられるようになっています。2005年には、「科学的根拠に基づく肝癌治療ガイドライン」が刊行され、適切な治療方針を選択するための情報が広く知られるようにもなってきました。